特別対談

「カヤックが経営理念を大事にする理由」

縄文ヴィジョン・パートナー代表

小泉明義

面白法人カヤック代表取締役CEO

柳澤大輔

ます監査を導入されていた面白法人カヤックの代表 柳澤氏との対談

2人の出会い

小泉明義 (以下 小泉): 我々の出会いって、何年前ぐらいでしたかね?

柳澤大輔 (以下 柳澤): 創業のタイミングなので…

小泉: そうですね、合資会社の時でしたね

柳澤: 98年の時じゃないですかね

小泉: 22年前か…!

柳澤: 合資会社を作ろうって事で(小泉会計事務所に)来たんですよね。合資会社を作ったのと同時に会計事務所を探していて、当時所長だった小泉さんのお父様の文章があまりにも熱くて…

小泉: 熱かったねぇー(笑)

柳澤: それで声をかけたっていう

小泉: そういうご縁でございましたね。

カヤック創業時のます監査

小泉: 最初はまだアーリーステージだったので、“ます監査”っていう形で僕は関わったんですよね。
“ます監査”って何かと言うとヴィジョンを一緒に立てて、毎月毎月どういう風に実現されていくかを数値と行動からチェックしていこうと言う事で、要するに…会社ができてホヤホヤなのでPDCAと言うサイクルが回らないのでそのサイクルを回すお手伝いをしましょうと言う事で関わり合いを持ち始めました。

柳澤 : 「事業計画を立てるサポート」みたいな感じでしたよね。

小泉: そうですね。計画を立て、それの運用のサポートなんだよね。
彼らはすごい頭いいから、じゃあ“ます監査”をディレクター教育に使えないかと言う事で、当時のオフィスでやっていたのは、各プロジェクトリーダーを集めて、自分の抱えているプロジェクトの問題点とか今突き当たっている問題とか言ってもらって、他のプロジェクトリーダーがそれに対してアドバイスするって言う。
中が中に経営コンサルし合うって言う形を作って行ったら1年ぐらいやったらメキメキとね、みんな成長しましたね。みんな他のプロジェクトが全部自分事化して、それから経営者感覚って言うのかな、経営的に物を見る見方が育って行ったんだよね。あれはやっぱり凄い上手い使い方だなと思いましたね。

柳澤 : 何年か分からないけど、創業の頃ですよね。上手い使い方を意識していたと言うよりは、結構全部オープンにすると言うスタイルだから、結果的にそうなったんじゃないですか。

小泉: 今も続く「自分事化文化」、あれでできたなぁって感じがしましたね。

柳澤: うちの場合は見ようと思えば全部見れますからね。

小泉: 全部オープンだもんね。

カヤックが経営理念を大事にする理由

柳澤: ひとつは迷いが色々生じる、正解が分からない世界に経営って入っていくから、その時の自分の軸となる様な物の判断…、軸ですよね。
それが教えとかっていう、宗教で言えば聖書とかになるっていうひとつの集大成が言葉としての経営理念だから何か物事を決断する時のセオリーに使えると言う意味で、経営理念が大事だと言うのはある種の実感を持って感じるって言う所なんですよね。
それは最終決断をする人のロジックであって、社員が経営理念がどれだけ大事かって言うと、まぁまぁ腹落ちないっていうのはそこなんだと思うんですけどね。
ただ、僕は社員にとっても経営理念が大事だって言う事に途中から行き着くわけですよ。
それはやっぱり自分の所属している組織がどう言う考えに基づいて意思決定をされているかって言う事を考えた時に、人間が意思決定をする訳ですけど(トップが)、やっぱり人って言うのは信用ならないので、ミスりもするし、我欲も入るし…、

小泉: ブレるしね

柳澤: であれば、何を信じるかって言うと、その人を信じるんじゃなくて、その人の信じている物を信じるしかないんですよね。
って言う時に経営理念がどう言うものかって言うのは、最終的には重要で、だからそこに乗れるか乗れないかって言うのは、社員にとっても重要なんですけど。
…って言う様な事で、重要だって言うのは、途中から言語化してなっていくわけなんですけど。
それが最初の時に腹落ちがあってかって言うと、そんなにあるわけじゃなくて、どちらかって言うと、経営理念をユニークにしようとか、使える経営理念ってなんだろうかって考える事に比較的興味があったって事なんでしょうね。
経営理念そのものがクリエイターのひとつのアウトプットとして、考えていこうって言う、ちょっとコピーライター的な方で、経営理念オタクに入って行ったって言う事な気がします。
実際すごい良い理念でも、社長がそれを大切にしていなければ、全然それが信じている物にならない物だから、信じて行動するから初めて経営理念が価値を持つんだけど、信じて使う時に、やっぱりセンスって重要だと思うんですよ。自分がこの表現ならノれるノれないとかって絶対にあるはずで、そこはやっぱり、ひとつのクリエイティブで、自分が好きな言葉を使うと良いし、自分のセンスって言う観点から調べて、自分だったらこうするっていうところで経営理念に入って行ったという事なんですよね。

経営理念「つくる人を増やす」に込められた想い

小泉: 今「つくる人を増やす」っていう経営理念なんだけど、これまでにも色々変わってますか?

柳澤: 変わってますね。
よく「つくる人をつくる」っていう経営理念に間違えられるんですけど、「つくる人をつくる」方がスマートなんですけど、やっぱりここは資本主義に乗っかって、上場して、大きくしていこうって言う意思をこれ(今の経営理念)作った時に込められていて。
「つくる人」って言う事で、なんとなくクリエイターが集まる組織になるわけなんですけど、やっぱ大きくする事に対して、まぁまぁ抜け落ちるタイプの職種がクリエイターなんですよね。
だから「増やす」って言う意思を込めたのは、「大きくしていこう」っていう意味が入っているんですよね。
だから学校みたいな、比較的毎年卒業生を出して大きくならないで粛々と同じ規模でやるみたいな話でいくと、「つくる人を作る」が多分正しくて、「つくる人を増やす」にすると、 「学校を増やしていこう」って言う話になるんですよ。そこがやっぱり上場会社としての意思を込めた瞬間だったんですよね、実は。

小泉: なるほどねー。それで上場の決断に繋がるんだ。

柳澤: 繋がっていくんですよね。あえて「増やす」事に。

経営理念「つくる人を増やす」に込められた想い

柳澤: “ます監査”をね、やるって事なんですか?小泉さんこれから。

小泉: 東京で10件、沖縄で10件くらいやりたいのね。それで若い人を育てたい。そういうお手伝いがしたい。
(カヤックは)“ます監査”を最初受けていたんだけど、なんか変わりましたか?

柳澤: 今って多分、ベンチャーを立ち上げる人とか、スタートアップの企業とかあるから、経営の手法を、こうやって会社を大きくしていくって言うのを理解している若者ってめちゃくちゃ多いんですよね。
事業計画の立て方も、大学生であっても1つの型はみんな揃っているよなぁって。

小泉: 色々教えてくれる人も居るしね。

柳澤: それ自体ができる人が増えている印象なんですけど、僕らの時代は少なかったって言うのもありますし、僕ら自身もまた見様見真似でスタートしたっていう所もあるから、事業計画の書き方とか、経営の型とか、戦略とは何かとか、その辺が全然無いままスタートしているわけですから。
その時にやっぱり、そういう事をいったん座学として学んで経営が伸びてきてとか、最初はだから…これはなんかニーズがありそうだぞぐらいで事業をスタートするっていう事だったから、もうちょっとスコープを長めに取って、計画を立てて達成していくとか、戦略を考えるとか、って言う様な事を座学で学んで一気にぐっと伸びる様なタイミングが当然会社のフェーズとして初期の頃にあって。そのひとつが“ます監査”だったんだと思いますね。
やはり世の中の中小企業って、投資をしてリターンを得るっていうメカニズムがそもそも分からないままやってる事が多いんですよね。投資をするからリターンが来るって言う根本的な事を腹落ち感無いままやってる会社が多いんですよ。

小泉: すごく多いです。

柳澤: ですよね。

小泉: 立ててないもん何も。

柳澤: っていう事をまず回し始める最初のステップとして、“ます監査”には良さっていうものがあって。
若手を応援したいって言う話ですけど、世の中の中小企業を応援するっていう意味で一番役に立つ。

小泉: 9割くらいが経営計画を持ってます。

柳澤: 若手って言うとちょっとなんか、若手でベンチャー志向の人は必要無いって言うか、できるから、そっちじゃない様な気がしますけどね。

これからの企業経営

小泉: これからの企業経営はどういう風に変わっていきますか?

柳澤: 大きめな意味でいくと資本を増やし続けるって言う資本主義を担うのが株式会社の経営って言うところなんですけど。で、そのGDPを増やす事に貢献すれば社会を幸せにする担い手としての…、

小泉: 納税もしてね

柳澤: どうやって大きくしていくかって事を、求められるのが経営って事ですけど、それだけでは幸せになんないみたいになったんで、もうちょっと全方位的に、地球環境の事考えたり、1人1人の社員の幸せを考えたり、っていうその「数字だけ追いかけてれば良いよ」って言う話にはならない時代にはなる。
っていう事が総括すると、これから変わっていく方向感なんですけど、まぁまぁちょっとありきたりっちゃありきたりな話なんだけど、そういう事ですよね。
それが起きた時に、どういう事が起きるかって言うとある種逆に経営力が高くないと、今までのそれができないんで、なんとなく経営してるみたいな会社がキツくなってくるだけなんですよね。ますます逆に。

小泉: 的が絞れなくなって、かつ、社員が出社しなくなったら崩壊しちゃうかもしれないもんね。

柳澤:

ちゃんとしてないと逆に無理っていう感じがします。

小泉: カヤックの…今もやられてるんですかね?ぜんいん社長合宿とか。

柳澤: ぜんいん社長合宿はやってます。ただ人数が多いので、チームは全員と言うか、分けてやる様にやってますね。

小泉: あれはヴィジョンの共有とか問題意識の共有?

柳澤: 基本的にはそうです。

カヤックにとって小泉会計とは

柳澤: 立ち上がりの頃のよちよち歩きの会社を、ちゃんとした会社に育てていくっていうところのお手伝いをしてもらったと言うのが実務作業におけるサポートだと思うんですけど。
それを小泉さんの場合はなんていうのかな、自分の気持ちが入る志に共感したりって言う会社に対してしっかり情熱を持って応援する姿勢で取り組んでくれるのかな。
否定された事はなかったと思う。そんな事はないか。厳しい事もあるけどベースには愛情があって、一緒に歩んでくれるっていうか、その感謝が常にやっぱりありました。今も覚えてるし。
63歳。なのに1歳半の…、65歳か(笑)
65になるのに、1歳半のお子さんが居て、まだまだ働かないといけないという状況の中で、ビジネスパートナー熱烈募集しておりますので。

小泉: よろしくお願いします。

柳澤: もれなく僕も一緒に飲んだりする時はついていきますんで、応援する会社は僕も応援する会社になりますから。

小泉: ありがとうございました。